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10周年 特設サイト|フラワーナイトガール FLOWER KNIGHT GIRL

  • 2024.08.27
コラム:花騎士制作秘話「世界観構想の初期と現在」

フラワーナイトガール10周年に向けた特別企画の一つとして、団長の皆様に「コラム:花騎士制作秘話」を全6回予定で毎月お届けします!

第1回の今回は「世界観設定」の初期構想やボツになった設定の一部を特別公開!
なかなか目にする機会がない未公開情報ですので、ぜひお楽しみください。
※当時の構想段階の設定であり、現在の公式設定とは異なる部分がございます、ご了承ください。

■企画当初の作品テーマ

2014年初頭頃にDMM GAMESとYourGamesの協業作品として企画が立ち上がったフラワーナイトガール。
当初から新規IP企画として、世界観部分に力を入れて開発をスタート。

最初期の世界観・物語テーマは「人類の足掻き、反撃、生への執着心」を掲げ、世界観構想の構築を進めました。
開発チームでの幾度もの検討と、長期の運営を経て、「人類の足掻き、反撃、生への執着心」というテーマはよりブラッシュアップされて現在の基盤となっており、 この段階で構想された世界観設定の 名残りは現在でも見ることができる。

■世界観設定と物語の初期構想


※初期に制作された世界観の概念図の1つ。現在のフラワーナイトガールに引き継がれた設定もあれば、変更が加えられた設定もある

❝花の世界、スプリングガーデン。人の形をした花の妖精達が暮らす異世界
各国には「世界花」と呼ばれる花が存在し人々の生活を支えていた…

そこへ謎の存在「害虫支配者」が来襲した
害虫支配者は強力なモンスター「害虫」を使いスプリングガーデンの花や人々を食らい始めた

そして害虫は「世界花」のエネルギーを狙い始めた
多くの「世界花」が害虫の餌食となり、国は崩壊していった

各国家の「花騎士」達は勇敢に害虫に対して戦いを挑んだ
しかし、騎士達の抵抗も強大な敵の前には微々たるものだった
自体を重く見た女王は異世界の人間(プレイヤー)を召還したのだった❞

※2014年5月の企画書に記載されている世界観の概要を説明するテキスト

企画最初期の構想では、「花の世界」こと「スプリングガーデン」は、「花の女王」の魔力によって大地に様々な花を咲かせた常春の国とされていた。
花の女王は、その魔力をもってして人の姿をした「花の妖精」を生み出すこともできる絶対的な人物であり、女王の魔力を世界の隅々にまで放つための存在として「世界花」と呼ばれる巨花が世界各国に存在する、という設定。

また、花の妖精は「花魔法」という特殊な力を使うことのできる特別な存在であり、この世界における「普遍的な人」でもある(生物学的人間は主人公しか存在しない)。花の妖精たちのうち、戦いに長けた者は「花騎士団」に所属して、戦闘に従事している。

当初のコンセプトとしては、主人公は現代社会から召喚された一般人で、いわゆる異世界転生・転移系の作品を指向していた。
平和を享受していたはずのスプリングガーデンが、突如として敵である「害虫支配者」の攻撃を受け、世界花には害虫支配者が使役する大量の「害虫」が棲みつくことになり、女王の魔力が世界に広がらなくなったことで滅亡の危機を迎えている。事態に窮した花の女王が救世主を求めて、召喚魔法によって主人公を召喚することが物語の起点となり、メインストーリーを展開する想定だった。
現代人である主人公は、特別な力を得て、危機に瀕するスプリングガーデンのために花の妖精たちと協力し戦うという形で、キャラクターを収集・育成するゲームデザインにもつなげている。

■現在の世界観設定のコンセプト


※2014年に作成したワールドマップのデザイン発注資料から抜粋

❝芳醇な生命が香るスプリングガーデン。
そこは、生きとし生けるものの生命の源泉である世界花に支えられた花の世界。

世界花が恵む大地には、清らかな川が流れ、草木が淑やか生い茂り、
人々は歌い、学び、働き、日々の暮らしを営む……。

悠久の理想郷と信じられた世界は、千年前の悲劇によって修羅の戦地と化した。

世界の外側より来る、老いて死にゆく世界の支配者アグレッサは、
スプリングガーデンのあふれる生命の源泉を奪わんと、平和に暮らす虫たちを
害虫たる好戦的な存在に変え、人々の豊かな営みを脅かし侵蝕していった。

この脅威に対抗するのは、スプリングガーデンを愛し平和を守る花騎士たち。
純真、友愛、威厳、誠実、謙遜、平和、忠誠、雄大な愛、信じ合う心……。
雅に彩られた花言葉と、騎士団の伝統と典範に則って行動する、たおやかな少女たち。

彼女たちを従えるのは、伝説の勇者の系譜を継ぐ騎士団長のプレイヤー。
花騎士たちを支え、才能を開花させる任を担う者。

死せる世界からの侵攻に立ち向かうため、知略に秀でた才を活かし、新たな伝説を紡ぐことができるのか……?❞

※現在の世界観の概要テキスト

前述の初期構想をブラッシュアップする形で、世界創造から数千年単位の歴史、神話・宗教や文化、社会制度・政治体制、経済状況、技術・産業水準、地理や気候などの世界観設定を構想している。

ゲームデザインの中心となるキャラクター「花騎士(フラワーナイト)」の設定は、初期構想の「花の女王の魔力によって生み出された花の妖精」から、広義では「世界花の力を受けて使役し 害虫と戦う者」へと変化 。花の女王という一人物に依存したものではなく、作中の神話や歴史に根差した力を基にしたものとなる。また、狭義では 「騎士学校を卒業し、国家の資格を得て騎士団に入団した者」と定義して、現実的な社会制度に関する設定を反映したものとなった。

10年近い運営期間を経た現在では、これまでに積み上げてきたフラワーナイトガールという作品を「地球史」「生物の進化」「植物と昆虫」などの観点から補強し、スプリングガーデンという世界をより掘り下げ肉付けしていく方針も目指している。

■初期構想における世界観設定の一部

初期構想における世界観に関する個々の設定について、ごく一部を以下に紹介する。

◯敵対勢力である「害虫支配者」とその勢力の「ウィルス帝国」
スプリングガーデンを侵略する「ウィルス帝国」という敵対的組織が存在し、その指導者として「害虫」を統べる「害虫支配者」という人物が設定されていた。

◯スプリングガーデンの民「花の妖精」
スプリングガーデンの全ての民は、通常は植物的な交配が行われ、世界花の女王がまいた種から発芽し、つぼみの中で育ち、生まれる。女性のみしかおらず、女王の遺伝子を受け継いでおり、季節や気候など、発芽の環境によって様々な個性が形成される、という設定だった。

◯空クジラ
バナナオーシャンに生息する空飛ぶクジラ。体長20メートルほどで、体内でヘリウムを作り出し、体熱によって温めて浮上する。空中に漂う小さな虫類を食べる種、空トビウオなどの魚類を食べる種がいる。これに巨大果実の果皮を生成した船室を取り付けて、移動手段にもしている。
現在の「クジラ艇」にこの概念は一部引き継がれている。


※スプリングガーデンの生態系に関する設定案資料から抜粋。後のクジラ艇に繋がるが、生物としての空クジラは無きものにされた

◯馬が存在しない
(現実世界と比較して)大型の甲虫が数多く存在し、それぞれの特性に合わせて、貨物の運搬から、騎士の乗りものなどに使役されている、その代わり馬という生物が存在しない、と構想されたが、馬が人類にとって身近な動物すぎて排除が難しく、結果的には馬の存在が消されることは無かった。

※花騎士4コマ劇場 第289話の一コマ。スプリングガーデンには馬がいる。

◯通貨単位「シード」
「種子」の英語:seedが由来。ゲーム内通貨としてシステム的にも関連づける予定で、「種ガチャ」はその名残りであるが、本来想定していた役割をもつ通貨は、分かりやすさを重視して「ゴールド」の名で実装された。
なお、他の候補として「カーネル」「ストーン」「ゼニー」「マニー」などがあった。

2014年の開発当時、花騎士の世界やストーリーをどのように展開しようとしていたのか、また現在はどのようなコンセプトで物語を制作しているのか、短いながらもご紹介させていただきました。

まだまだ未公開の情報もたくさんございますが、今回はここまでとさせていただきます。

10周年までの期間、今回のようなコラムを今後も定期的に公開してまいりますので、次回もぜひお楽しみに!

フラワーナイトガール運営チーム